社員の声

中小企業振興を通じて/途上国の経済成長支援

 開発エコノミストとして、主にアジアの途上国で中小企業振興プロジェクトに携わっています。経済を専攻した大学時代、世界各地を旅して海外で仕事がしたいと思うようになり、米国の大学院に留学しました。最初から開発協力を目指したわけではありませんが、ここで学んだ国際開発学が面白く、自分の方向性が見えてきました。

 外務省の在外公館専門調査員に応募し、インド西部5州を管轄する在ムンバイ日本総領事館の経済・経済協力班で3年間、経済分析と「草の根無償」案件に取り組みました。日系企業の進出促進のための投資環境、有望産業に関する各種調査に加え、現地NGOの事前審査や事業モニタリング、評価などの業務を経験するうちに、開発の現場で働きたいという思いが募り、帰国後に開発コンサルタントの道を選びました。  インドネシアで参画した「中小企業クラスター振興計画調査」(2009~11年・JICA)は、国内2地域の中心産業を選び、全国のクラスター振興に向けた提言を策定するもので、私は西スマトラ州の地方都市の刺しゅう産業を担当しました。200社ほどの中小業者を対象に、官民対話フォーラムの形成、職場の「5S」活動、宣伝用パンフレット作成、デザインの改善などのパイロット事業を実施し、その教訓を踏まえたアクションプランとして、地元のファシリテーター養成の必要性などを提言しました。

 タイの「地方中小企業振興制度の確立計画調査」(09~11年・JICA)では、パームオイルやゴム、水産物などを生産する同国南部の地方都市で、行政や民間団体、中小企業診断士などから成る中小企業支援サービスのネットワーク化、情報のデータベース化、能力強化のOJTなどを実施。ここで構築した振興支援制度を、地域ごとの特色に合わせて全国展開するためのプランを策定しました。このほか、フィリピンの食品包装技術改善プロジェクト、バングラデシュの輸出産業多角化プロジェクトなどにも携わっています。

 先進国・途上国を問わず、経済の中心となって多くの雇用を創出しているのは、中小企業です。そうした企業群の振興プランの策定は、一国の経済に大きな影響を与えるダイナミックな仕事であり、やりがいとともに責任を感じます。半面、なかなか成果が見えにくい分野でもあり、カウンターパートには日本経済を下支えしてきた中小企業の成功事例を説明し、プロジェクトの意義を適正に理解してもらうよう努めています。これからも自分の専門性を深めながら、途上国の経済成長に寄与していきたいと思います。

コンサルティング第一本部
杉山 圭介

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