プロジェクトリポート

イラク共和国「コール・アルズベール肥料工場改修事業」

本件は、イラク鉱工業省傘下の肥料公社が操業しているイラク南部コール・アルズベールにある尿素肥料工場の総額181億2千万円の円借款(借款契約2008年1月26日調印、2008年6月30日発効)による改修事業です。
コール・アルズベールはイラク第二の都市バスラとペルシャ湾に面したウム・カスル港との間に位置しています。


当該工場は石油産出の際の随伴ガスを原料にして、アンモニアを経て尿素を製造するプラント。2系列構成で、第一系列は1978年、第二系列は1979年に完成しました。その後、1991年と2003年の湾岸戦争やそれに伴う国連制裁の影響で交換部品の入手ができず老朽化し、2004年には肥料生産量が年間261,350トンと、設計年間生産量1,056,000トンの1/4程度に低下してしまっていました。機器や配管が変形していたり、更に一部の機器は内部の熱が外殻まで漏れてきていて外部からの放水で冷却しながら操業するなど危険な状態で、早急な改修が求められていました。

 

当初計画分の改修は2016年7月に完了。その後、新たに発生した問題個所等の改修を借款の残額およびイラク側予算を用いて行いました。同円借款の期限は一度延長されて2021年6月迄で、期限一杯まで使い本事業は完了し、肥料生産能力は年間556,000トンに回復しました。

計画目標では設計の56%の年間591,360トンへの回復でしたが、改修対象外の機材で新たに見つかった問題がボトルネックとなって目標に僅かに届かず、ほぼ達成という結果です。しかし、FIRR(財務的内部収益率)は目標の14.2%に対して19.3%となり、その点では客先に満足戴けたと自負しています。また、今後同ボトルネックを解消することによる肥料生産量の更なる増加を見込めます。

工場内の案内

 

改修後の機器 (第1系列)
二次改質炉(右)と廃熱ボイラー(左)

 

ユニコは客先イラク肥料公社とのPMC (プロジェクト・マネジメント・コンサルタント) 契約に基づき、2009年7月27日から業務を開始しました。業務期間は当初4年間の予定でしたが、10回もの契約改定を経て2021年5月末までの11年と10か月間の業務となりました。

ユニコの業務内容は機材調達や改修工事のための入札図書作成、入札参加者との質疑、入札評価、契約交渉、契約書作成、機材製造中や完成後の検査、各種申請、報告書作成等々です。ユニコのメンバーは多い時で10名程で、途中交代があり延27名が参画しました。主に東京の事務所での業務でしたが、時折現地での協議等もありました。

 

開始当初は現地には未だ戦争後という雰囲気が残っていて、初回に現地を訪問したメンバーはヘルメットと防弾ベスト着用で米軍の車両での送迎でしたが、その後すぐに民間のセキュリティ会社の防弾車両での送迎となり、防弾ベスト等の着用も次第に無くなりました。

事業実施中、2014年から2017年まで約4年間、IS(イスラム国を名乗る組織)によりイラク北部が混乱しました。サイトがイラクのほぼ南端で、バスラの市街地からも離れていることから、実際の影響は殆どありませんでしたが、国全体のリスクとして捉えられて、工事期間や費用の増加の要因となりました。また、終盤、2020年春頃からの新型コロナの影響によっても事業完了が遅延することとなりました。

この約12年間を振り返りますと、その他にも様々な問題が起きてその都度解決に追われる日々だったように思います。

 

本事業を通じて、肥料生産量の増加によりイラクの農業生産力向上に寄与できましたことは私にとっても大変な喜びです。

 

なお、JICAのホームページでも本事業が紹介されています。URLは以下のとおりです。

https://www.jica.go.jp/oda/project/IQ-P6/index.html

コンサルティング第二本部  樋口 勝彦

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