プロジェクトリポート

イラク共和国「クルディスタン地域下水処理施設建設事業」

イラクのクルディスタンはイラク北部に位置する自治区です。イラクの人口約4,000万人の内20%がクルド人と言われています。

市中心にある城塞からのエルビル市風景

 

現在まで同地域には下水処理設備は設置されておらず、雑排水は公共水源や灌漑用水となる河川に処理されずそのまま流入し健康被害の発生が懸念されています。また、し尿は地下浸透させており飲料用水源である地下水の汚染リスクの懸念もあります。

 

本件は、同地域の中心都市であるエルビル県エルビル市に下水処理設備を建設し、同地域の衛生環境の改善、水資源の確保・有効利用に寄与することが期待されています。

クルド下水処処理場建設予定地

 

同案件向けの円借款融資契約は2019年10月30日に発効し、本案件の現地側実施期間であるクルディスタン上下水道総局と当社他4社からなる共同実施体との間で2019年12月9日にコンサルティング契約を締結しました。

コンサルティング業務は2020年3月10日より開始しておりますが、同業務開始当初より新型コロナ禍により現地入りが出来ずに日本からのテレワークにて対応してきましたが、本年4月から徐々に現地業務を開始しております。

クルド側客先との写真

 

本事業は、主に3つの要素からなっております。1つ目は日量105,000㎥の下水処理場の建設、2つ目は総延長距離約50kmの市内下水管渠網の敷設、そして3つ目は設備完工後2年間の運転保全支援業務です。設備建設に3年間が見込まれており、コンサルティング業務は設備建設前の準備段階から設備建設し完工後の運転保全業務までの77か月と長期に亘るものとなっております。

 

将来的には下水処理設備能力を本事業の日量処理量105,000㎥から8倍の840,000㎥まで拡張される計画となっております。また、本事業では本邦技術活用条件(STEP)が適用されており、日本の優れた技術やノウハウを活用するとともに、技術移転を通じて日本の「顔が見える援助」を促進するものとなっております。同条件から建設及び運転保全支援業務は本邦の会社が主体となり請け負い実施していくことになります。来年早々の入札を経て工事請負会社を決め、工事の開始は来年後半を予定しています。

本事業はまだ始まったばかりです。これからが山場との思いで、より一層気を引き締めて対応していきたいと思います。

最後に余談ですが、本事業のサイトであるエルビル市は中東地域では珍しく市内にお酒を販売している店があり、お酒は比較的自由に手に入ります。そのことは今後現地活動をしていく我々メンバーにとっては嬉しい環境ではあります。

 

コンサルティング第二本部
椛山 英一

貢献可能なSDGs目標

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