プロジェクトリポート

ザンビア共和国「品質・生産性向上(カイゼン)展開プロジェクト フェーズ2(カイゼン実務研修)」

2020年2月から2022年3月までザンビア国で『品質・生産性向上(カイゼン)展開プロジェクト フェーズ2(カイゼン実務研修)』を実施しました。このプロジェクトの目的は、ザンビアカイゼン機構(KAIZEN Institute of Zambia:KiZ)のカイゼン実施能力の向上でした。直営専門家チームの業務を補完し、KiZに対するカイゼン指導に係る実務研修(OJT)を実施しました。
指導対象は、KiZのカイゼンコンサルタント及びカイゼンコンサルタントネットワークのコンサルタント(2021年10月~11月のOJT実施時には、KiZカイゼンコンサルタント3名)でした。

かつて2014年2月から2016年12月までJICA「品質・生産性向上(カイゼン)展開プロジェクト」において、ユニコはKiZがカイゼンを普及していくための基盤形成を支援しました。具体的には、実務研修(OJT)を通じた官民セクターへのカイゼン指導、全国カイゼン大会の実施及びカイゼン普及に関する包括的マスタープランの作成等を行いました。
以上の協力の成果を踏まえ、ザンビア政府の要請によりJICAはあらためてカイゼン普及活動の拡大に向けて協力を行うこととしました。本案件は、その事業の一部であり、ユニコはOJTを実施しました。

民間企業2社、公的機関1組織においてKiZのカイゼンコンサルタントに対してOJTを実施しました。
概要は表1のとおりです。


表1に示すとおり企業及び政府機関との合意の上でKiZがKPIと実施目標を設定し、指導内容の概案を企画しました。それにあわせてJICA専門家が指導内容を具体化しました。新型コロナの影響から現地への渡航が制限されたこともあり、実際にOJTを実施した期間は2021年10月から11月までの2か月間でした。そのため、OJTは週に1~2回のペースで進めたものの成果を確認するための調査は行っていません。

KiZのカイゼンコンサルタント3名(うち1名はオブザーバー)に対して、OJTの前後にミーティングを行うことで指導内容の理解を深めました。また評価の方法と結果については、それぞれ2回ずつ意見交換会を開催し、KiZとJICA専門家双方が納得できるものとなるよう配慮しました。

 

KiZのオフィスが入居しているビルの外観

 
OJTにおいては、KiZのカイゼンコンサルタントの指導内容に対して、JICA専門家がアドバイスをすることで、これまでカイゼンコンサルタントが感じていた疑問を解消出来ました。日頃、時間の制約や気軽に相談する場が限定されていることから疑問点を放置していたようですが、カイゼンコンサルタントはOJTによりそれらを解消し、スキルと指導方法に対する理解を深めました。

感想:これは私個人の感想ですが、企業に対するコンサルティングと同時に外部のコンサルタントの育成を行うOJTは、いわば一石二鳥を狙った手法です。ただし企業とコンサルタントの優先課題を一致させるのは難しく、双方の満足度を高めることも困難が伴いました。OJTと引き換えに無償でコンサルティングサービスをするだけでなく、企業にとっての満足度向上につながる工夫が重要でした。たとえば経営陣との対話を通じて経営課題を明確にした上で、そのための対策を提案することです。そして対策の一部としてOJTを位置づけ、構造的な提案をすることでそれぞれの活動の意義を明確にしました。

 

KiZオフィスでのJICA専門家の説明



コンサルティング第一本部
菊地 隆男

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