プロジェクトリポート

フィリピン国地方食品包装技術改善プロジェクト(2006年9月~2009年7月)

本プロジェクトは同共和国政府の科学技術省の工業技術開発局の傘下にある「包装研究開発センター」(以下、PRDC)をカウンターパートとし、レトルト食品、青果物鮮度保持包装、乾燥・半乾燥食品などの食品包装技術専門能力の向上、主にダンボールを使用した輸送包装能力の向上、シール作成用ダイカッターの操作技術、包装デザインおよびラベルデザイン制作にかかる専門能力強化、PRDCの組織運営能力の向上と促進、セミナーやワークショップおよび個別企業へのコンサルテーション活動を行う食品中小企業向け普及啓発活動実施能力向上を主な業務とするプロジェクトである。

食品分野の専門家は、4人で構成され、全員が技術士の資格を持っていた。包装技術全般、レトルト食品、乾燥・半乾燥食品、青果物鮮度保持包装などの各担当の専門家全員がすばらしい能力と経験を持っており、カウンターパートであるPRDCの各スタッフ達へのきめ細やかな技術指導は指導用テキストの準備段階から実施終了まで涙ぐましいほどの努力をしていただいた。

特に講義用資料の作成と翻訳は専門家諸氏が連日徹夜で自ら作業を行うほどであった。これら技術移転の活動の結果、PRDCのスタッフからの尊敬も一心に受けていた。

私は、講義や実施指導には立会うだけのことしかできなかったが、レトルト食品の製造方法、野菜を包装する際の包装材料へのガス注入、魚の燻製やケーキ・菓子類の包装のための材料とその包装方法を傍で観察していて大変な興味を覚えたものである。

輸送包装を担当した専門家もダンボール製造会社の技術者をメンバーに加えることができた。PRDCにとってダンボールを使用した輸送包装技術は比較的新しい分野であるため、この技術移転は全くの基礎技術、例えば厚紙に、三角定規などを使用しての線の引き方から、ダンボールをカッティングする際に指を切らない方法など、さらには梱包する製品の実物を見ながら梱包用ダンボール箱の展開図の描画なども行われた。
最終的な段階としてキャベツやイチゴなどの青果物の輸送から、テラコッタなどの重量物のダンボール輸送方法までの実務が実施された。

包装デザインおよびラベルデザイン制作の分野における技術移転は本件プロジェクトの中で最も効果が大きく、かつ短期間でその成果を見ることのできた分野である。

同分野においては包装デザインの実務からデザイン用コンピュータのソフトウエアの裏技操作方法やデジタルプリンターのカラー微細調整方法、さらにはCI戦略、新商品開発のコンセプト作りなど、デザインにのみ限定することのない幅広い分野への応用展開が図られた。

シール用ダイカッターの操作に伴う技術移転は当初は含まれていなかった分野であるが、PRDC側からの要請により第3年次に追加して実施された。ただ、導入されたダイカッターがオーストラリア製であり、日本ではなじみのない古いタイプの機械であったため、その操作を行う専門家を探すことは容易ではなかった。

コンサルティング事業本部  新垣 巽

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