プロジェクトリポート

メキシコ国中小企業人材養成計画調査(2008年7月~2009年12月)

Morelos州Tepoztlanのレストラン
「メキシコ国中小企業人材養成計画調査」は、ユニコが実施した先行調査から5年を経て再開された支援である。当時を知る人びとは「ようやく再始動」という安堵と「今度こそ実るだろうか」という不安とが入り混じった反応で調査団を迎えた。

先行調査である「メキシコ国中小企業コンサルタント養成・認定制度計画調査」および同「フォローアップ調査」(2001~2003年)では、全国職務能力基準化・認証審議会(CONOCER)による国家資格として中小企業コンサルタント制度を創設することが提案されたが、CONOCER自体が実質上の活動休止に陥るなどを経て、実現されないままとなっていた。そこで、より現実的なアプローチとして、まず経済省による中小企業コンサルタント資格制度の創設を第1ステップとして実現し、将来的にCONOCERによる国家資格へと統合するロードマップを描く目的で掲題の開発調査が実施されることとなった。

この調査が目的とする成果は、1)メキシコにおける中小企業及び中小企業コンサルタント養成の現状や課題を明らかにし、2)メキシコ経済省による中小企業コンサルタント養成・登録制度の計画を提案し、3)中小企業コンサルタントに係わる国家資格制度を確立するためのロードマップを作成することであった。

提案する制度の試行(パイロット・プロジェクトの実施)として、経済省登録を希望するコンサルタントを募って職務能力要件にもとづいた評価・選考および養成研修を施し、一定以上の能力を認める者をデータベースに登録するという一連の流れを実践した。

メキシコの職務能力認証国家制度は「コンピテンシー」の概念にもとづいて設計されている。コンピテンシーとは、持てる知識・技能を意識的に動員して望ましい成果を挙げる能力を指す。すなわち、どのような知識・技能を有するかということよりも、それらを発揮して成果を出すことに重点を置く。これに対し、日本の中小企業診断士の試験制度は「職能」の概念を基礎としている。職能とは職務を遂行しうる能力を指す。充分な知識・技能の有無に重点があって、実践や成果はあまり問われない。このような出発点の相違が、3日かけて難しい筆記試験を課す中小企業診断士試験と、ロールプレイや報告書等成果品の評価を主とする職務能力評価との違いを生んでいる。そもそも中小企業コンサルタントを選考するには何を測るべきなのかを問い直す調査となった。

コンサルティング事業本部  及川 美和子

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