プロジェクトリポート

ホンジュラス国地方開発のための自治体能力強化プロジェクト 専門家派遣(2012年1月~2012年6月)

ホンジュラス国(以下、「ホ」国)がどこに在るか、皆様はご存知でしょうか。2012年8月ロンドン五輪サッカーで、日本代表チームと試合をした国なので名前を聞いたことのある方は多いかもしれませんが、小さい国がひしめき合っているメキシコ以南の中米各国の名前と位置を正確に言える人は少ないのではないかと思います。

小さい国がひしめき合っているのは、あたかも過去の地域の政情不安定さを示しているようです。「ホ」国に関しては、1969年西側隣国エルサルバドル(以下、「エ」国)との間で、不法移民問題に端を発したいわゆる「サッカー戦争」が起きました。因みに、本プロジェクトの対象地域である西部地域には、多くのエルサルバドル国人が居住しています。、又は、またこの西部地域には、エ国から「ホ」国に越境して仕事をしに来ている人も多く見られます。この地域では、今でも、不法侵入による森林伐採問題が時折起きているようです。一方、南側隣国ニカラグアでは、1979年オルテガ将軍率いるサンディニスタ政権が誕生しました。時は、東西冷戦の最中で、ドミノ理論を唱えるアメリカがオルテガ政権に対抗する「コントラ」の主要基地としたのが「ホ」国です。今でも国境山岳地帯には、多数の地雷が残っていると言われています。

「ホ」国は、東西冷戦や政情不安、台風など自然災害の対応に振り回された小国と言えるかもしれません。更に、2009年憲法改正の国民投票をめぐり、投票日の当日に起きた軍事クーデターで、大統領がニカラグアに亡命する事件も発生しました。幸いなことに現在は、政権も落ち着きを取り戻し、地域の実情を踏まえた開発を推進するために、国から地方へ権限と財源の移譲を法制化し、地方分権化が進められています。

私が「ホ」国を最初に訪問したのは、1996年でした。当時は小学校低学年の児童と思われる子供たちが、首都テグシガルパ市のメインストリートの交差点で信号待ちをしている車のフロントガラスの窓ふきやレストラン等の駐車場での車の見張り役など街頭で仕事をする姿をよく見かけたものです。ところが、今回(2012年)は、そうした子供たちの姿を見ることはありませんでした。昔は、マクドナルドと言えば日曜日のミサの後に、家族で食事をするなどステータスの高いところでしたが、今は日本と同じように庶民的な店になっていました。昔は野原だったところに大型ショッピングモールが建設され、1998年ミッチ台風後の援助資金などによる道路整備やタワーマンションの建設などインフラ整備も進み、ここ15年ほどの首都の変容ぶりには目を見張るものがあります。

しかし、首都の見違えるような発展にもかかわらず、良くも悪くも、地方には昔の風俗・習慣が色濃く残っています。大半の農村部にある小規模な自治体では、選挙のたびに市長以下幹部職員がほぼ全員、場合により掃除の庶務職員までも入れ替わるようです。行政事務の引継ぎという習慣もなく、更に、担当職務を遂行するのに必要な条件を満たした職員が採用されるとは限りません。このことが、地方分権化で委譲された権限や予算を有効に活用した事業の計画・実施の障害となり、地方の発展を妨げる大きな要因として指摘されています。

このような地方行政の現状を改善すべく、JICAは「西部地域・開発能力強化プロジェクト(FOCALプロジェクト2006年」を実施し、イギート市連合会と関係10市の行政能力の強化を支援しました。同プロジェクトでは、市連合会が市に対して、住民参加による集落の現状調査・市開発計画の策定・ミニプロジェクトによる事業実施という一連の住民参加型による開発プロセス(FOCALプロセス)を支援しました。その結果、本プロセスが地方行政の案件策定・実施能力の向上に有効な手段として評価されるに至り、現在、本プロセスの全国的な展開に向けて、「地方開発のための自治体能力強化プロジェクト」(FOCAL2プロジェクト2011年10月~2016年10月)を、内務・国民省(SEIP)をカウンターパート(C/P)機関として実施しています。

私は、研修計画/モニタリング指導の専門家として、現状調査と分析に係る研修プログラムの策定、巡回指導で行うモニタリング・評価の方法、モニタリング結果を踏まえた提言と指導等、C/Pにマネジメント能力の向上を支援するために派遣されました。支援のためのツールとして、全体の研修計画と研修カレンダーの作成、チェックリストや報告書等各種様式類をまとめた研修マニュアルの作成と巡回指導の予算確保、関係支援機関との連携促進などに係る簡易マニュアルを作成して、OJTを行いながらC/Pに助言を行いました。第二フェーズは始まったばかりですが、作成した簡易マニュアルやチェックリスト類が活用され、地方行政担当者の地域開発に係るマネジメント能力が向上して、地域住民の生活向上に繋がることを期待します。

コンサルティング事業本部  本家 正彦

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