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インタビュー| Princess Umul Hatiyya Ibrahimさん 銀行での勤務経験を生かしてガーナと日本の懸け橋に

ユニコでは2020年より独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency: JICA)の「ガーナ国カイゼンを用いた企業振興プロジェクト」[1]を実施しています。現地でこのプロジェクトを力強く推進してくれている現地スタッフのPrincess Umul Hatiyya Ibrahimさんにお話を聞きました。  

Princessさんはおおらかでいつも明るく、チームのムードメーカーです。金融機関での勤務経験を生かし、専門的な部分でチームを支援するとともに、的確なファシリテーションで活発な議論をリードしてくれます。プロジェクトにとって、大変心強いメンバーです。

 

Princessさん

 

  • ● Princessさんの業務内容を教えてください。

 

このプロジェクトで、私は現地企業の金融サービスへのアクセスの向上支援を担当しています。銀行での勤務経験を生かし、中小企業のビジネス環境、ニーズ、課題を把握し、中小企業とガーナの9つの金融機関を繋ぐ役割を担っています。具体的には、グレーター・アクラ州とアシャンティ州 の企業と面談・審査を行いパイロット企業を選定したり[2]、OJT(On the Job Training)の実施を通して50人以上のビジネス・アドバイザー[3]の育成をしたりする業務を行っています。また、パイロット企業訪問時の報告書の作成や、実施パートナーであるガーナ企業庁(Ghana Enterprise Agency: GEA)とドナーであるJICAとの間の仲立ちも担当しています。ガーナと日本の双方の期待を融合させ、それらを管理することも重要な役割です。大学で国際関係学を学んだ経験がとても役に立っています。

 

プロジェクト地域

 

  • ● このお仕事のどのような部分が好きですか。

 

プロジェクトがもたらすインパクトを瞬時に実感できるため、やりがいを感じます。企業を訪問し、ニーズや課題をヒアリングして、解決策を提案することはこの仕事の醍醐味です。提案する解決策には、一定期間の支援の提供や、金融機関への融資の斡旋など があります。創業者や経営者にビジネスのベストプラクティスを共有し、彼らがそのベストプラクティスを実践し、大きく成長していく姿を見るのも楽しいですね。ビジネス・アドバイザーを育成するだけでなく、彼らから学び、関わることに喜びを感じています。企業やビジネス・アドバイザーがこのプロジェクトから得ている知見は、計り知れません。

 

ビジネス・アドバイザーと訪問先のパイロット企業にて

 

  • ● 一番大変なことは何ですか。

 

この仕事で一番大変なことは、新しいやり方を受け入れようとしない経営者の意識を変えることです。例えば、企業の創業者や経営者が、事業を運営する上で新しい技術を導入することに抵抗があったり、私たちが提案したことを受け入れようとしないことがあります。

 

  • ● 日本人チームと一緒に仕事をするのはどうですか?ガーナ人と仕事をするのと違いはありますか。

 

日本人メンバーがプロジェクトにもたらす仕組み や機能的なスキル を高く評価しています。例えば、実際に企業を訪問し、診断・課題の特定を行い、解決策を提案・実施支援するハンズオン形式の研修は実際の状況に即しておりとても実践的です。また、日本人メンバーが使っている枠組みやひな形はとても有用です。状況・課題・解決策を整理して、そこからロードマップを作成するといった枠組みは、私たちや企業にとても役立っています。

他方、私たちは文化もコミュニケーション方法も違うので、世界観も異なります。  

  • ● このプロジェクトはガーナの発展と成長にどのように役立つと思いますか。

 

中小零細企業はガーナ経済の基盤であるため、このプロジェクトはガーナの発展に多大な貢献をすると思っています。貿易産業省によると、中小零細企業の経済活動はガーナのGDPの70%以上に貢献しています[4]。とても大きな比率ですね。創業者や経営者が訓練を受け、ベストプラクティスを採用し、融資を受けることができれば、何百もの雇用を創出する可能性があります。そして、その結果、ガーナの経済を維持、発展させることが出来るのです。

 

OJT研修でのディスカッションの様子

 

  • ● プライベートな面についてもお話を聞かせて下さい。仕事の後や週末など、余暇にはどんなことをしていますか?

 

私はサイクリングが好きで、週末に行っています。食べることも同じくらい好きなので、おいしいレストランを見つけて、人に薦めることも得意です。周りの人には、よくグルメだと言われます。また、国内外を旅行するのも好きです。新しい場所を訪れると、リフレッシュでき、視野が広がります。私の世界観は、世界中のさまざまな場所で見たり、経験したり、学んだりしたことによって、形成されてきました。

 

  • ● 最近、特にハマっていることはありますか?

 

最近 なわとびやウェイトリフティングを始めました。とても楽しんでいます。運動することで体調が整いますし、出張時など企業訪問で何週間も移動が続くときでもベストを尽くすためのエネルギー源になっています。

 

  • ● 最後に、ガーナの魅力についてお聞かせください。ガーナのどのような部分が好きですか?観光客にお勧めしたいことは何ですか?

 

ガーナの魅力のひとつは、ガーナ料理です。ガーナの料理はバラエティに富んでいて、とても楽しませてくれます。どの地域にも独自の料理があり、例えば、北部ではトゥオ・ザフィとアヨヨスープ、南東部ではエウェ族のバンクーとオクラのスープ、アカン族のフフとヤシの実のスープ、グレーター・アクラ州ではケンキーと魚が主食とされています。ジョロフ・ライスは、トマト、スパイス、肉の盛り合わせと一緒に炊いた米料理で、私たちの「国民食」とも言えるものです。この料理はガーナの至る所で食べられており、人気があります。私自身、アジア、アフリカ、ヨーロッパなど世界各地を旅行し、さまざまな料理を食べてきましたが、 誰もがガーナ料理の美味しさに舌鼓を打つものだと断言できます。

 

ジョロフ・ライスとチキン

フフスープ

 

それから、旅行者に勧めたい美しい場所もたくさんあります。ヴォルタ州にあるガーナで一番高い山、アファジャ山はハイキングに最適です。東部のアコソンボには、「世界最大の人口湖[5]」であるヴォルタ湖があります。海岸沿いには、ポルトガル、デンマーク、イギリス、スウェーデン、オランダが建設・占領した歴史的な要塞や砦が点在しています[6]。ユネスコによると、ガーナにはヴォルタ州、グレーター・アクラ州 、セントラル州、ウェスタン州に20以上の要塞と砦があります。これらの遺跡は、ケタ、アクラ、アノマボ、ケープ・コースト、エルミナ、アクシムなどの町や都市で見ることができます。

 

インタビュー・訳:コンサルティング第一本部
(執筆当時)
桑名 志帆

 

 

脚注

  1. ^ プロジェクトの概要(JICAのODA見える化サイト): https://www.jica.go.jp/oda/project/1900409/index.html
  2. ^ 本プロジェクトでは、ガーナ企業庁と金融機関が連携して企業を支援するモデルを構築しています。モデル構築に試験的に協力してくれる企業をパイロット事業として支援しています。
  3. ^ カウンターパート機関のガーナ企業庁は、全国各地にビジネス開発センターを設置し、ビジネス・アドバイザーが助言などを行い中小企業を支援しています。
  4. ^ Ministry of Trade and Industry - MoTI News: https://moti.gov.gh/article.php?id=NTY
  5. ^ 表面積で世界最大。Britannica, The Editors of Encyclopaedia. "Lake Volta". Encyclopedia Britannica, 18 Aug. 2017, https://www.britannica.com/place/Lake-Volta Accessed 15 April 2022.
  6. ^ Forts and Castles, Volta, Greater Accra, Central and Western Regions https://whc.unesco.org/en/list/34/

 

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