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中東ヨルダンの地政学的重要性について

2023年10月のイスラエルによるパレスチナ自治区ガザ侵攻を契機に、中東情勢は非常に流動的な状況となっています。

 

上記状況において、中東におけるヨルダンの地政学的重要性は高まっています。
その背景としてヨルダンは地域の様々な国々と密接な関係を有しており、特に下記のように周辺国との関係が良好なこと、また、相互協力が不可欠であることが挙げられます。

 

死海(対岸イスラエルを望む)

 

「イスラエル」
 イスラエルと国境を接しており、両国は1994年に平和条約を締結、国交が樹立されました。
この条約には、国境管理、経済的な協力、水資源の共有などが含まれています。

「シリア」
 シリアとも国境を接しており、シリア内戦の影響で難民が大量に流入、これがヨルダンに大きな影響をもたらしています。
ヨルダンは安定を保つためにシリアとの協力を模索しています。

「イラク」
 イラクとは東部で国境を接しており、イラクが安定することは、ヨルダンにとっても重要にて、両国は経済的な連携や相互貿易を促進中です。

「サウジアラビア」
 サウジアラビアはヨルダンに対して経済的な支援を提供しており、両国は友好的な外交関係を維持しています。

 

これらの周辺国との友好関係は、中東地域の政治情勢により影響を受ける可能性はあるものの、ヨルダンが平和と域内協力を重視し、地域の安定に寄与する役割を果たす限り維持されると考えられます。

 

上記役割を果たす中で、ヨルダンの地政学的重要性が益々高まっている具体的要因を列挙すると、以下の通りです。

 

「地理的位置」
 先述の通り、中東地域の中央に位置し、西はイスラエル、北はシリア、東はイラク、南はサウジアラビアに接しており、ヨルダンは周辺国との戦略的な緩衝地帯となっています。

「地域の安定化」
 地域全体の安定化に資する存在となっています。隣接するシリアやイラクの紛争や不安定な情勢がヨルダンに波及する可能性があり、ヨルダンの安定は地域の平和と安全に寄与します。

「難民問題」
 中東地域の紛争から逃れてきた多くの難民を受け入れています。パレスチナ難民キャンプやシリア難民キャンプが多数存在し、これが国内外でのヨルダンの安全保障と安定に影響を与えています。(難民受け入れに対する国連をはじめとする国際機関や英国を主体とするヨルダン支援会合等による援助の枠組みの存在)

「水資源」
 水資源が限られており、地域全体で水の供給と利用に関する課題が存在、ヨルダン川が国内を南北に流れており、水資源の管理が地域の対話と協力を促進する要因となっています。

「経済的な役割」
 地域で比較的安定した経済を維持しており、投資や貿易の拠点として機能しています。地域の経済的な中心地の一つであり、国際的なパートナーシップにも参加しています。(例年、各種国際会議が首都アンマンや死海において開催されています。)

「対テロ戦争への取組み」
 国際的な対テロ戦争に積極的に参加しており、テロ組織に対する取り組みが地域と国際社会との協力を通じて進められています。

 

これらの要因により、ヨルダンはこれからも地域の安定と平和に寄与する重要な役割を果たし続けていくと考えられています。

 

ペトラ遺跡

以上

管理本部 A. H.

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