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今から7年前の3月、飼い猫の迷子騒動がありました。
我が家では、二匹の猫を飼っていて、一匹は濃いグレー色をした太っちょの「ごま」、もう一匹は茶色と白の小柄な「とうふ」です。
ある日の昼間、私の留守中に母が家に来て、うっかり玄関のドアを開けっぱなしにしてしまい、とうふが家から脱走してしまいました。
私はその連絡を勤務中に受け、とうふのことで頭がいっぱいになり、良からぬ事が頭をよぎりました。
室内飼いのとうふは、一旦家から離れてしまったら自分の家の場所がわからないだろう、首輪を着けていないから野良猫と思われて保護してもらえないのではないか、家の近くのバス通りまで行ってしまったのではないかと、絶望的な気持ちになっていました。
その頃自宅では、高校生だった息子がたまたま友達2人を家に連れてきていました。そして息子と友達、私の母で『とうふ大捜索』が始まっていました。
息子達は、ごまが近くを通ったら、とうふがごまに気づいて出てくるのではと考え、ハーネスを買ってきました。ごまは、ハーネスを取り付けられてとうふ探しに駆り出されてしまいました。ごまは、体は太めで大きな猫ですが、気は小さく、とても臆病ものです。いつも部屋で過ごしているごまにとって、外の世界は恐怖でしかなかったに違いありません。家から出た途端に固まってしまい、全く動かなくなってしまいました。かわいそうにもごまは、ズルズルと引きずられながら近所を連れ回されました。
私が夕方慌てて帰宅をすると、まだとうふは見つかっておらず、すぐさま私も捜索を開始しました。
もしかしたら、まだ家の近くに隠れているのではないかと思い、建物の回りをぐるりと探したり、猫が通れそうな小道や隣の家の裏側など、ありとあらゆる所を隈なく探したりしましたが見つかりませんでした。時間がどんどん過ぎて行き、あっという間に夜になってしまいました。
「とうふ〜、とうふ〜」と、呼びながら探していると、子供の頃、豆腐売りがラッパを吹きながら来ていたことをふと思い出し、なんだか恥ずかしくなりました。そこで呼び方を「とうふちゃん」「とうふくん」などと、変えてみたりしていました。
その日は23時頃まで探し続けましたが、結局、とうふは見つけられずに自宅へ戻りました。
息子は、もしかすると夜中にとうふが帰ってくるかもしれないからと、玄関の前に布団を敷いて寝ていました。
翌朝、私は出勤、息子と私の両親で再びとうふの捜索開始です。
私はというと、とうふのことが気がかりで、休憩時間中はずっと、近所に貼るための迷い猫のチラシ作りや、電柱にも貼りたいと考え、警察に許可も貰っていたのです。
そんな中、一緒に休憩していた20代同僚のKさんが迷子のチラシを見ながら「これとうふちゃんじゃないですか?」と、迷子の猫を保護していると書かれたX(旧Twitter)を発見!
そこにはすっとんきょうな顔をしたとうふの写真が載っているではないですか。
「とうふ〜!」その時の驚きと嬉しさは、今でも忘れられません。
さすがKさん、若者らしく目の付け所が違い、即SNSで捜索。私はと言うと、前の晩からせっせとチラシ作りをしていたのですから、かなりの時代遅れでした。
X(旧Twitter)で保護して頂いた方に連絡を取り、早速自宅にいる家族にとうふを迎えに行ってもらいました。とうふを保護して下さった方のお家は、自宅からおよそ100メートルの距離にあり、そのお家では、大型犬と猫を飼っていました。
話しを聞いた所、散歩から帰ってきた後、犬が犬小屋に入らないのを不思議に思った飼い主さんが犬小屋の中を覗いたところ、とうふが犬小屋の中いたそうです。とうふに居場所を取られても怒らなかったわんちゃん、そしてとうふに餌も与えてくれて保護してくれた優しいご家族に、感謝の気持ちでいっぱいでした。
とうふを探すことが出来たのは、保護してくれたお家の大学生のお嬢さんが、X(旧Twitter)に載せてくれたことと、同僚のKさんがSNSで検索してくれたおかげです。
もし、保護してくださった方がSNSなどに投稿することを思い付いていなければ、または、同僚のKさんがSNSを検索してくれなければ、見つける事が出来なかったかもしれません。この時代ならではの奇跡的な出来事と思います。
昨今、SNSやSMS、e-mailなどを利用した詐欺や犯罪が氾濫しており、注意喚起をよく目にします。
しかし今回は、SNSが救世主となったわけです。SNSは「危険」だけではなく、利便性のあるツールの一つでもあると思います。
最後になりますが、一番迷惑を被ったのは、おそらく外を引きずり回されたごまでしょう。