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現地の言葉を少しでも知っているとその国の人が段違いに心を開いてくれるということは、よく言われていることと思います。
自分自身もこれまでの経験からそのことを理解していたつもりでしたが、2024年1月にタンザニアに初めて渡航した際はすっかり忘れていました。
それはタンザニアでの母語がスワヒリ語である一方、公用語に英語が並ぶため、英語でのコミュニケーションで十分に事足りると考えていたことが理由です。実際に仕事をする上では英語のみで問題ない場面がほとんどですが、現地の方は基本的にスワヒリ語で会話をしています。
そしてスーパーやレストランの店員、よく泊まるホテルで働く従業員など、スワヒリ語しか話さない方も一定数いることに気づきました。今後も渡航する機会があることを鑑みて、やはり現地の言葉で会話ができるようになりたいと思い、スワヒリ語を覚えることにしました。
その次の訪問の際は、覚えたてのスワヒリ語を使ってみました。
期待通り、言葉を覚えてから一段と現地でかかわる方々との距離が近くなったと実感します。そして現地での滞在を通して、参考書から学ぶことが出来なかった生きたスワヒリ語や文化を、肌身で感じることが出来ました。
先日訪問したザンジバルでは、長きにわたりタンザニア本土とは異なる歴史や文化を形成してきた背景があるからなのか、違う言葉が聞こえてくるように感じます。
本土で出会う多くの人は、挨拶の際に「マンボ!」と声をかけるのに対し、ザンジバルの人は「ジャンボ!」と声をかけるのが主流のようです(ちなみに教科書では「シジャンボ?」と習いました。これも通じますが、あまり使われていないようでした)。どちらも「こんにちは、元気?」というニュアンスには変わりないです。
一説によれば「マンボ」は若者の間で流行る「ジャンボ」の進化系とのことです。どちらを使っても誰も顔をしかめることはないですが、ザンジバルでは敢えて現地の人のように「ジャンボ」を使いたいなと感じます。
(ザンジバル島の様子 アラブ・インド・ヨーロッパからの影響を受けた独自の文化が色濃く残る)
直訳すると「ようこそ」という意味の「カリブ」。色々な意味が含まれますが、「あなたを受け入れます」というニュアンスのこの言葉をタンザニア人はよく使います。
外国人である私の発する「Thank you」に対しても「カリブ」という。自己紹介をした後も「カリブ」。ホテルに到着して最初の言葉が「カリブ」。お願いごとをした後も「カリブ」。まるで「カリブは翻訳できないのよ」というかのように、誰に対しても「カリブ」をよく使う姿にカリブ文化への誇りを感じます。
「アサンテ(ありがとう)」に対しては「カリブ」を使いたいと思いながら、咄嗟に出る「You are welcome」を使ってしまう度に、まだまだスワヒリ文化には遠いな、と反省します。
そんな「カリブ」から、誰でも受け入れますという心の広い姿勢がタンザニア人にはあるのだなと感じていた一方で、目上の人に対して使う「シカモ」という挨拶の存在を知り、驚きました。誰でも受け入れると示しつつも年代や位で使い分ける言葉があるのだ、と。もしかすると「誰でも」受け入れるわけではないのかもと想像しました。「シカモ」はかつて奴隷が主人に対して挨拶する際の言葉だったという歴史的な背景を考えると余計に。
言葉と連動する文化が面白い。これからもスワヒリ語を勉強しながらタンザニア文化を観察していきたいと思います。